ああ有常・カード会社のずさんな電話

人事を尽くして怒らず待つ。修行アラ僧のテーマ。
ああ、でもこれはとっても難しい。特に「怒らないこと」はとっても難しい
日々が「怒らない」修行。

今日の修行は「カード会社のずさんな電話」への対応。

顧客の登録情報を変更する、お知らせをする、など、よ〜く自宅に電話がかかってきます。ちょっとしたトレーニングや真っ当な対応で、お願い電話だって、実は誤り電話だって顧客満足度につながるツールになりうる。ところが、、大抵の企業のすることは逆のことばかり。不景気の今はコスト削減優先、というかコスト削減至上主義。そのために顧客の協力が必要なこともあるのに、筋の通った説明ができるように社員やパートを育てず逆効果。窮鼠なんとかで嘘ついてごまかそうとするオペレーターあり。

そんな失態を修行アラ僧に露呈し、修行の機会を与えてたもうたのは某大手カード会社。

2006年12月20日に公布された「改正貸金業法*1。これには、20%以上の金利を違法とするいわゆる「グレーゾーン金利*2の撤廃のほか、カード会社や消費者金融カードキャッシングやローンを合わせた総額を年収の3分の1に限定する上で必要となった「名寄せ*3を楽に行うため、オペレーターが電話にてカード明細書の送付先住所の変更依頼をしてきた、というのが背景のようなのですが…

今日は日曜日。訳あってしばらく遠くにいるソウルメイトに想いをはせながら、午後自宅で寛いでいたところへの一本の電話。

「ク●●●●●●の■■と申しますが、▲▲様ですか?」

持ってる大手カード会社の名前でしたが、パートのお兄さん風のなんとも素人っぽい第一声。
「オレオレ」撃退に自信はあって怖くないし、この声ならそこまで大胆なことはしないだろうと「はい」と返事。

すると、

「ご住所が東京都S区●●の●●様ですか?」と聞いただけで、「複数のカードをお持ちだと思いますが、●●●銀行でもクレジットカードお持ちですよね?」といきなり保有カード情報にジャンプ。

この会話、本来こんな具合に進んではいけないはず。

というのも、(1)詐称の可能性の問題(何故あなたが「ク●●●●●●●」の人と言えるわけ?)、(2)違法行為の問題(そうだとして、何故これが業務上の電話と分かるわけ?)、そして(3)秘匿性の問題(顧客への明確な「本人確認」のステップもなく、何故カード保有情報をぺらぺらしゃべるわけ?)のいずれもクリアしてないから。

むむっと芽吹きそうな「怒り」の感情を抑えて何の用か聞きながら、①〜③を確かめると、複数の保有カードの登録住所が異なるので変更してもらうために電話をしたというのです。何故かと聞くと「法律がそう言っているからです」とのこと。そして「金融法という法律です」というのです。「そんな法律があるのですか」と聞くと「そうです」と自信たっぷり。

でも、日本には「金融法」という法律はありません*4。 金融業界や金融商品の販売手法などを規制するための法律を総括して「金融法」と呼ぶことはありますが、あくまで便宜上の話です。

で、怒りの芽吹きを感じながら、ぐっとこらえて、、「そんな名称の法律は日本にはありませんが、具体的にどの法律のどの条文に住所を変更しないといけないと書いてあるのでしょうか」と聞くと、「少々お待ちくださいませ」といわれて待つこと5分強。

「法律は、貸金業法といいます。最近改正されたんです」とのこと。 あ〜でも改正貸金業法にはそんなことは書いていない!!! ので、「一体どの条文ですか?。そもそもこうやって電話してきたあなたがク●●●●●●の方で、正当な理由で電話をしてきていると、どうやって私が確信できるんでしょうか?」というと、また「少々お待ちくださいませ」といわれて再度待つこと5分強。

出てきた答えは「カード更新時に住所変更がされていないと、カードが更新されないということでした。銀行でお持ちのカードは銀行に行って変更する必要があります。お客様センターの番号を差し上げますので、そこに掛けていただくとク●●●●●●●であることが分かります」

・・・

ちょっとお!!! 私の質問の大事なことに全く答えてないじゃないですか。。。 何で住所変更しないとカード更新時に更新されないの???そもそもさっき言ってた貸金業法の条文はどこに行ったのさ!!!

…おっと、怒っちゃいけない。この世の生きとし生けるもの全てに慈悲の心を。

「もういいですか? どうせ私掛けなきゃいけないなら、電話終わってもいいですよね?」

とぶちきれる前に兄さんとはさよなら…

今日の電話は、改正貸金業法で、融資額も金利も下げなければならない一方、今まではカードやローンの個別契約などの「契約ベースの管理」から個々の顧客の契約を総括して全体として管理する「顧客ベースの管理」への移行に必要な多額のシステム投資を強いられコスト高になったカード会社の対応措置のプロセスの一つ。 

住所の一本化で顧客の同一性を確認。完全名寄せを可能とする
各顧客との連絡チャネルを一本化し、通信コストを削減する

でも、顧客の立場だと、住所の一本化がいいわけではない?

長期の単身赴任で福岡にいる旦那が主に使ってるカードと、名古屋に残った専業主婦の妻が主に使ってるカード。専業主婦は契約者になれないから、名義はどっちも旦那。 両方旦那に送るのも、両方妻に送るのも、不便じゃないですか?

家族カードを年金暮らしの母親に提供する息子。母親は自分の支出を管理するため明細を見る。自分は別のカードを主に使ってる。そんな母親向けカードの登録住所は実家で、別のカードは息子の住所じゃだめなんですか?

インターネットで明細を見るカード、郵送で受け取りたい明細。 郵送してもらう方は、定期的にポストをチェックしてくれる人がいる実家に送ってもらってはいけないのですか?

住所が異なっても、更新カードが届く時、その住所に受け取りにいくと言うならそれでもいいんではないですか?



…自分で言っててなんだけど、これはこじつけにも聞こえるな…。



やっぱり怒りの芽は、オペレーターの醜態が原因だ。

金融法なんてないぞ!
貸金業法には住所の変更なんて規定されてないぞ!
住所が違うとなぜカードは更新されないんだ!
5分間、2回も待たせるな!

要は、カードの契約ができる、つまり日常労働に励んでいておいそれと情報変更のための諸手続きに時間を使えない人を相手に、何故手間をかけてでも住所変更をしなければならないのか、をしっかり説明できないような人、そして窮地に追い込まれると嘘つくようなシロウトさんには電話は掛けさせちゃいけないのではないかと。しかも、安心して自分のカードのこと話していい相手かどうかの確認くらいさせてくれてもいいのではないのかと。

それくらいトレーニングしてくださいよ!
もうちょっとクオリティ上げてくださいよ!

でも、考えてみたらカード会社なんて昔からこうだったかも。
万物は無常というけど、これって有常?

これでも怒っちゃだめなんでしょうか?

そうですよね。。。

生きとし生けるものが幸せでありますように。

*1:詳しくは日本貸金業協会のページをご覧ください。http://www.0570-051-051.jp/contents/outline/1-1.html

*2:「みなし弁済」として認められていた、改正前の利息制限法と出資法の間の金利のことを言います。旧貸金業法では、その43条の条件を備えた場合、旧利息制限法の上限金利を超える金利による利息を支払った場合でも有効としたものです。

*3:金融機関において、複数の契約や口座を持った顧客がいた場合、その情報を一元管理したり、その顧客の同一性を確認したりするプロセスを言います。

*4:2010年6月13日現在「書きかけ項目」ではありますがhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E8%9E%8D%E6%B3%95でも言及されています。