子をかすがいにしないといけない夫婦

人事を尽くして怒らず待つ。修行アラ僧のテーマ。
ああ、これはとっても難しい。特に「怒らないこと」はとっても難しい

ソウルメイトが遠くなる週末は、修行アラ僧にとっては辛い時間。どうしても色々なことが気に障る。でも怒ってはいけない。

そんなアラ僧に今日の修行を与えたもうたのは友人の友人、2組の話。「子はかすがい」だと言う。でも聞いてみるとどちらも「子はかすがい」ではない。「子が唯一のかすがい」または「子をかすがい」にしてるだけ。 「子だけがかすがい」の夫婦は皆を不幸にする

友人の友人1組目:
友人の友人Cさんの旦那さんは10年間浮気をしていたそうな。この10年間妻も子供も顧みず、朝仕事に出て行くと夜中まで帰らず、週末もいない。一方、遅いが毎晩帰宅する、定期的に性交渉はある、子供の行事だと頼めば週末家にいることもある。親兄弟、友人全てに「怪しい」と言われ続けつつも、まあ家に限って、と思っていた。もしものときのために相談窓口だけは確保しておいたらしい。それが突如旦那から実は10年浮気をしてました、と打ち明けられびっくり仰天。自分を侮辱した相手を許すことはできない一方自分が離婚をするはめになるなんて考えられないし、どうも夫は子供とは一緒にいたいと思っているから、離婚をしたら子供には会わせない、といえば離婚しようなんて言えなくなるはずなので、そうして引きとめておくことにした

友人の友人2組目:
友人の友人Sさんは外国人エグゼクティブと結婚10年目。最近、自分の誕生日のお祝いにワインを飲みながら夕食をしていると、酔ったその外国人の夫から「お前は子供も産めないし、離婚だ」と言われた。思えば過去5年間、不妊治療に明け暮れていたが、原因はどうも夫にあるらしいと思っている。 夫は仕事も忙しく、日本語を学べずほとんどできないが、自分もちっとも夫の国の言葉が上手くならない。コミュニケーションが難しいから、愛情は行動で示すため、アルコール中毒、DV、など、夫が必要とするヘルプは自分が積極的にプロの支援を探し、ちっともそれを受け入れようとしない夫に、上手くない夫の国の言葉で一生懸命説得を試み続けつつ、子供ができることを祈っている

この2人の友人の友人に共通しているのは、子供さえいれば夫は自分から離れないはず、という考え方。確かに、子供は夫婦の愛の結晶。一方、愛の結晶を日々育てるのは大変。意見の違いもあれば、色んな問題も噴出するだろう。そんなとき子供の寝顔を見ながら「この子たちのために何とか乗り越えよう」と協力している夫婦を見ると「子供は確かにかすがいだ」と思う。


でも、この2組の夫婦にとっては、かすがい、でなくてかすがいにしようとしてるだけ、じゃないの? 

この二人の友人には更に共通点がある。

①専業主婦でパート一つしていない。既に40代半ば過ぎのこの二人、もう既に20年以上も仕事をしたことがない「有閑マダム」
②旦那は世間的には「エリート職」についた高給取り。ステイタスの自慢でもあり、そういうエリート夫の妻達が今のお友達
③大学卒、留学経験あり、など、自尊心がとても強く、結婚してなかったら・子供がいなかったらもっと社会で活躍してたはず、と自負

経済的には夫がいないと生計がなりたたないけど、自分で仕事をして自立する自信も「汗かく気」もさらさらない。「離婚した」というより「離婚させられた」なんて世間に顔向けできないような辱めには遭いたくない。上手くいかなかったのは全て夫の悪事のせい。。。

子供をたてにすれば、夫は自分のところにつなぎとめられる。 子が唯一のかすがい。 そんな夫婦に育てられて、子供は幸せなんだろうか。
子供さえ生まれれば、夫は自分のところにつなぎとめられる。 子をかすがいにする。 そんな夫婦に生まれて、子供は幸せになるのだろうか。

修行アラ僧も女の気持ちはよく分かる。 きっとこの友人の友人の夫の2人とも、子供が欲しいと思っている、あるいは自分の子供はかわいいと思っているだろう。自分が育てられた記憶、両親や家族、兄弟のことを思っているだろう。だから子供は十分にかすがいにすることができる。

でも、「夫が一方的に悪い」とこんな人たちが本当に言える???

食器洗い機、洗濯機、掃除機などなどの文明の利器、それにスーパーやデパ地下・お取り寄せ、などなど、家事なんてすぐ終わり、後は暇にしてる「有閑マダム」に、会社でもまれる夫の気持ちが分かるか?

社会で活躍できないのは結婚したせい、子供ができたせい、育ててるのは私だけで大変なせい、そんな文句ばかりぶちまけてないか?

自分の方が時間が自由になるのだから、夫とのコミュニケーションに何が必要なのかを真面目に考えて勉強したり、共通の話題を作ったりして努力したことがあるのか?

公園デビューや私立幼稚園・小中学校のお受験はさぞかし大変でしょう。でも会社で認めてもらってお金を稼ぐのはもっと大変。夫との不仲の原因、自分にもあると思ったことはないのか?

不妊治療も大変でしょう。でももともと不仲の二人、子供が生まれたって不仲になる可能性はある。子供しかかすがいでない二人、子育てで問題が生まれたらどうするわけ?

この人たち、子供を軽く考えすぎ! 子供は道具ではない!
そんな夫婦が子供を持つべきでない!
そんな夫婦が仮面夫婦を続けるべきでない!

確かに両親揃った子供が一番幸せ。 それは本当に夫婦が愛し合っていれば。

「子だけがかすがい」の夫婦は皆を不幸にする。自分も、子供も、親兄弟も。不自然な劇を続けるなら、やめたほうがまし。子供のために離婚が最適の場合だってある。離婚したって父親、母親とその子供はそれぞれがつながっている。それぞれが愛情をかけてやれば子供は立派に育つ。子供は実は大人が考えるより、ずっと大人。 両親の不仲、何が不仲の原因かなんてすぐ分かる。 知ったとしても口に出さない。 「子だけがかすがい」の仮面家族だったと知って傷つくより、人生の様々な選択肢や事象を知り、成長した後に遭遇するかも知れない人生の局面に立ち向かえるよう、早めに準備してあげれば、それはそれで貴重な経験になるのではない?


これでも怒っちゃだめなんでしょうか?
そうですよね。。。
生きとし生けるものが幸せでありますように。